海外に赴任する際に住民票はどうする?住民票を抜くとどうなるのか?保険料や年金・NISAなどはどうする?

海外赴任や海外移住が決まった際、多くの人が悩むのが「住民票をどうするべきか」という問題です。

特に初めて海外へ赴任する場合、以下のような点が分からないという方が多いのではないでしょうか。

  • 住民票は残してもいいの?
  • 住民税は払う必要がある?
  • 健康保険はどうなる?
  • 年金は支払うべき?
  • 海外転出届って何?

実際には住民票を残すかどうかによって、税金や社会保険、年金などに大きな影響があります。

今回は海外赴任・海外移住を予定している方に向けて、海外転出届と住民票に関する基本的な知識を分かりやすく解説します。

そもそも海外転出届とは?

海外転出届とは、日本国外へ1年以上滞在する予定がある場合に提出する転出手続きのことです。

日本の住民基本台帳法では、「1年以上海外に滞在する予定がある場合は国外転出届を提出する」ことになっています。

海外転出届を提出すると、その自治体の住民票は除票となり、日本国内の住所を持たない「非居住者」という扱いになります。

つまり、以下のような扱いになります。

  • 日本に住んでいる人 → 居住者
  • 海外に住んでいる人 → 非居住者

住民票を抜くメリット

まずは住民票を抜くことで得られるメリットを見てみましょう。

住民税を支払う必要がなくなる

最も大きなメリットは住民税です。住民税は毎年1月1日時点で住民票がある自治体から課税されます。

そのため海外転出届を提出し、日本国内に住民票が無い状態になれば、翌年度以降の住民税は課税されません。

例えば、2026年6月に海外赴任で2026年中に海外転出届提出の場合、2026年度の住民税は支払う必要がありますが、

2027年度以降の住民税は原則課税されなくなり、帰国した年も1月1日時点で住民票がある自治体がないので住民税がかかりません。

国民健康保険料を支払う必要がなくなる

住民票を抜くと国民健康保険の加入資格がなくなります。

つまり、国民健康保険料の支払い不要となり、日本国内での保険診療利用不可になります。

保険料負担がなくなるのはメリットですが、日本へ一時帰国した際に病院へ行くと医療費は全額自己負担になります。

国民年金の加入義務がなくなる

海外転出届を提出した場合、国民年金の加入義務もなくなります。

国民年金保険料は年間約20万円近くになるため、支払いが不要になるメリットは大きいでしょう。

ただし将来受け取る年金額は減少します。

住民票を抜くデメリット

住民税や保険料を払わなくて済む一方で、デメリットもあります。

日本の国民健康保険が使えない

海外生活中はもちろん、一時帰国中の通院や入院も全額自己負担になります。

特に小さなお子さんがいる家庭や持病がある方は注意が必要です。

海外旅行保険などと併用する方も多いですが、金額が高いのでこの辺りは検討するのが良いでしょう。

行政サービスが受けられない

住民票が無くなることで、各種行政サービスや一部自治体の助成制度、国民健康保険などが利用できなくなります。

支払う金額が無くなる分、受けられる行政サービスが無くなるのでその点は注意が必要です。

日本国内の住所証明が難しくなる

銀行や証券会社などで住所確認が必要になる場合があります。近年は改善されつつありますが、一部サービスでは日本国内住所が必要なケースもあります。

そういったサービスが使えなくなるのは注意が必要です。

健康保険はどうなる?

海外赴任時に最も重要なのが医療保険です。

駐在員の場合

駐在員の場合は、日本本社に所属したまま海外へ出向するケースが一般的です。

そのため、住民票は日本に置いた状況で、健康保険や厚生年金を継続できる場合がほとんどです。

会社側で手続きを行ってくれるケースが多いため、人事担当者へ確認しましょう。

現地採用の場合

現地採用の場合は事情が異なります。

日本の社会保険から外れるケースが多く、タイの社会保険や民間医療保険、海外旅行保険などへ加入する必要があります。

特にタイの私立病院は高額になることもあるため、医療保険は必ず準備しておきましょう。

年金は支払うべき?

現地採用や移籍出向の場合、国民年金を任意加入するか悩む人も多いでしょう。

任意加入という選択肢

海外転出後は加入義務はありませんが、希望すれば任意加入できます。

メリットは、老齢基礎年金が減らないという点や、障害基礎年金対象期間になることです。

支払わないという選択肢

一方で、年間約20万円の保険料負担をなくせるため、その資金を資産運用して老後の資産形成を行うという考え方もあります。

どちらが正解というものではなく、自身のライフプランに合わせて判断すると良いでしょう。

NISAやiDeCoを運用している人は要注意!

近年は新NISAやiDeCoを活用して資産形成を行っている方も増えていますが、海外赴任や海外移住が決まった際には注意が必要です。

まず、海外転出届を提出して日本の「非居住者」となる場合、NISAやiDeCoの取り扱いが変わる可能性があります。

iDeCoは掛け金の拠出が不可に?

iDeCoについては、海外移住などで非居住者になると原則として掛金の拠出ができなくなります。ただし、これまで積み立てた資産は「運用指図者」として運用を継続できます。また、国民年金に任意加入する場合や、駐在員として厚生年金に継続加入する場合は、掛金の拠出を継続できるケースもあります。

NISAも新規の買い付けが不可に?

NISAについては、日本の居住者向け制度のため、海外移住の場合は原則として利用できなくなります。一方で、会社からの辞令による海外赴任の場合は、事前に必要な手続きを行うことで最長5年間NISA口座を維持できる場合があります。ただし、海外赴任中は新たな買付や積立ができないなどの制限があります。

特に新NISAやiDeCoで長期運用をしている方は、赴任準備の段階で忘れずにチェックしておきたいポイントの一つです。

\ 事前にNISA/iDeCoについてもチェック /

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海外転出届の提出方法

海外転出届は非常に簡単に提出できます。

提出できる時期は転出予定日の14日前からとなり、提出場所は住民票のある市区町村役場となります。

必要なもの

  • パスポート
  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • 本人確認書類

自治体によって異なる場合があるので事前確認がおすすめです。

返却が必要なもの

海外転出届提出時には、以下の書類の返却が必要になる場合があります。

  • 国民健康保険証
  • 住民基本台帳カード
  • 一部自治体発行カード

駐在員は会社の指示に従えばOK

日系企業の駐在員であれば、住民票や健康保険、年金、税金について会社がサポートしてくれることがほとんどですので、まずは会社の人事担当者へ確認しましょう。

むしろ悩むケースが多いのは、現地採用や海外就職、海外移住、ノマドワーカーといったケースです。

2024年から海外在住者もマイナンバーカード取得可能に

2024年5月27日から制度が変更され、海外在住者でもマイナンバーカードを申請できるようになりました。

これにより、日本国内の本人確認や電子署名、各種オンライン手続きなどがより便利になります。

海外に住んでいて日本の身分証明書がないという方には非常にありがたい制度変更と言えるでしょう。

1年以上の海外赴任なら住民票・税金・保険を必ず確認しよう

海外赴任や海外移住では、住民票をどうするかによって税金・保険・年金の取り扱いが大きく変わります。

一般的には1年以上海外に滞在する場合は海外転出届を提出し、非居住者となるケースがほとんどです。

ただし、住民税や健康保険、年金、一時帰国時の医療費などにも影響するため、単純に「住民票を抜けばお得」という話ではありません。

特に現地採用や海外移住の場合は、自分自身でメリット・デメリットを理解した上で判断することが重要です。

海外生活をスムーズにスタートするためにも、出発前に住民票や社会保険の手続きをしっかり確認しておきましょう。

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